はじめての香道体験

お香を作っている者として、香の起源や歴史を知ることは必要不可欠なことではないかと思い、香道体験の申し込みをしてみました。今まで興味はあっても実践することは初めてのことだったのでワクワク半分緊張半分という面持ちで挑みました。

香道と言えば、茶道、華道に並ぶ日本の伝統芸道です。難しい作法や所作の心得が必要で、敷居が高いイメージが先行してしまいます。やはり教養が必要で一般人が入っていく世界ではないと躊躇してしまうところです。しかし、いざ香席が始まると全く初心者の私でも丁寧に指導下さり、皆さまのお心遣いに触れながら終始リラックスした気持ちで時間を楽しむことが出来ました。

この度経験させていただいた香席は組香と言い5種の匂いをランダムに聞いて(匂を嗅ぐことを聞くといいます。)その違いを見定め当てることを主旨とする遊びです。分かりやすく言うと利き酒のような概要です。しかしゲームでの勝ち負けを競うのではなく、テーマとなる和歌にあしらって香りの物語が読まれていたり、希少な香木を皆で聞いて分かち合うという意味合いの方が大切な役割を担っていることに気付かされます。香道の魅力は語り継がれた物語から歴史を知ることや、受け継がれてきた香木や文化に敬意を払いながら接することでもあると感じました。

それは、その席だけではなく、私たちの日常生活の中でも大切にしたい考え方です。日本人の持つ和の精神、その教えは決して押し付けがましくなく、余白を残しつつ絶妙な間を生み出します。なんとも雅な奥の深い世界であると感じました。

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